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わくわく交流公演(セークの踊り)
とても貴重で大切な経験をした。

出演2時間前から始まった魔法の時間。そして、舞台で踊った夢の時間。どちらも記憶にとどめておきたい時間となった。魔法とは不可能を可能にする術であり、物語だ。それは破壊から始まって、徐々に混沌となり、やがて夢の地点に到達する。

ことが始まったのは、1年前のわくわく公演が終わった後だった。来年は楽団を呼ぶから生演奏で踊れるよ、と聞かされた。そして本番の1ヶ月前、今回はセークを踊りますと伝えた時も、生演奏で踊れるよ、と言われた。
とりあえず覚悟して・・・、今回の踊りの構成通りに編集したCDを送った。でも、まだ半信半疑、というより、どちらかと言えば、無茶をしないで、練習し慣れたCDで踊りたい...という気持ちだった。そんな中で、「楽団が張り切って(我々のために)セークの演奏を練習してるよ」という情報が入る。

b0043954_23322545.jpgとうとう、当日。本番2時間前に最初で最後の音合せをすると聞かされ、腹をくくる。
まず最初に、プリマーシュから質問された。
「ヘートゥレペーシュとポールカは踊るのか?」
「・・・」
「踊らない」
事前に渡したCDには、その2曲はもちろん入っていない。楽団は、そのCDを聞いて、それを再現するように練習しているはず、と思っていた。

「確かCDを渡したはずでは?」
「聞いたが、あの音楽は良くない」
「・・・(いや、それはそうだけど、そういうことではなくて・・・)」
これは、大変だと相当に、覚悟した。

「最初は何だ、シュールテンポか」
「よし、じゃー始めよう」
全く、想定にないメロディーのシュールテンポが演奏された。半ば、予感はしていたものの、さて、どうしたら良いのか気ばかり焦った。
少なくとも、今回、歌うことにしている、ネージェシュとロッシューの音楽だけは、こちらの指定したメロディーにしてもらった。それ以外の男性舞踊やチャールダッシュは、楽団の好きなように引いてもらうことにした。勿論、ただし、長さはほぼ決まっているので、それは、舞台上でこちらから合図する。

そんなこんなで、ホール1回の少し奥まった所だけど、見れる人からは丸見えの場所で、最初で最後の音合わせをした。

そして、本番・・・の前に、当初は難しいと言われていた舞台でのリハができることになった。
リハは予想以上にうまくいった。ネージェシュから始まり、歌姫の歌が続く。次の男性舞踊に移るタイミングは私が手振りとアイコンタクトで合図する。いい感じである。ロッシュー、チャールダッシュ、そして 結びのネージェシュと全て、タイミングはバッチリだ。これまでで、最高の出来だった。音合わせで体を動かしていたこともあって踊りも良かったと思う。

b0043954_23435361.jpg本番。予想外の事態がおこった。
その時までは順調だった。
歌姫の声は、これまで以上に伸びやかで、力強い。男性の踊りも概ね順調だ。床の茶色、男性ベストの青、女性スカートの赤が、周囲の暗闇の中で浮かび上がり(後に、照明の演出効果が素晴らしかったからだと判明)、時間が流れる感覚がつかめない夢の中で踊っているようだった。

そして、いよいよ結びのネージェシュ。
しかし、流れてきた音楽はロッシューだった。ネージェシュを踊るには、はるかにテンポが遅い。夢の中のさらにまた深い夢に落ちたような気がした。

さて、どうする!
プリマーシュが気がついて、ネージェシュのテンポ、音楽に戻してくれるのを促すしか無い。
歌姫は、伴奏を外して本来のネージェシュの唄を歌おうとしてくれた。何とか、メロディーだけは戻った。私も、手拍子をして、本来のテンポに戻そうとした。しかし、変わらない。
そして、テンポはロッシューのまま、チャパーシュをするメロディーに入ったところで、思い切ってチャパーシュを試した。
まさにスロー再生のようなチャパーシュ。しかし、それがバンドを覚醒させ、まるで、誰かがスロー再生ボタン解除したかのように、そのチャパーシュ8呼間の間にようやく本来のテンポのネージェシュが蘇った。異変が始まってから45秒間の出来事だった。

そして、無事、踊り終えた。

驚いたことに、実はその修羅場の最中、私はあまり悲観はしていなかった。
(もし、このまま音楽が変わらなかったら、おそらく踊りはぐちゃぐちゃになり、収拾がつかないまま、無理やり退場しただろう)
何か、この状況を離れた位置から俯瞰している自分がいたような気がしていた。皆の踊りは、今のところ崩れていない。楽団も、迷っている。であれば、適切な指示をしさえすれば、必ず修正される。そんな事を考え、感じていた気がする。

何か一つ越えたというか、殻を破れたような気がした。

by odoribe | 2015-07-04 23:47 | パフォーマンス | Comments(0)
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